黙示録

相棒最終回は、いつものごとく二時間スペシャル。
法務大臣(瀬戸内さんではなく、女性でした)まで登場する、
硬派な社会派で見事にしめた。


今シーズン第一話で出ていた三雲判事が再び登場。
なるほど、初回で残したままの件を最終回で解決するのですね。
第一回でテーマとなった「裁判員制度」と、
そこに『相棒』お得意の「死刑」「冤罪」の問題を重ねてくる。
(特にシーズン2は死刑に関する話が多かった)
「こいつは本当は無罪ではないか」と思いながらも、
左陪席(新人)ゆえ強く主張できず、不本意ながら書いた死刑判決文を持ち歩き、
二十五年苦悩してきた判事の姿が痛々しく、
それを「裁判員制度」によって、一般人が負わされるかもしれない
というのは説得力もあった。
判事だけでなく家族、弁護士、検察官、刑事、友人などがみな苦しんでいる、
それをお前は背負っていけるかと言われると、正直無理と首を振りたくなる。


今はキリスト教に帰依する元法相が話していた、
「この死刑囚は冤罪かも知れないので執行はしないように」
という申し送りの書類、通称、黙示録。
現実にも似たようなものがありそうなだけに、恐ろしい。
ただそれ以上に、刑事補償制度には驚いた。
冤罪で死刑になった場合の補償額は三千万円、
今回のように二十五年拘置され、執行前に獄中で亡くなった場合は九百万円。
「国民が刑事補償法に興味を持たれては困る」の台詞は胸に刺さる。


二十五年前の事件の真犯人を割り出す、右京さん。
おそらく今回はヒントも多く、簡単だったでしょう。
家宅捜査の時、右京さん、亀山君と一緒に、捜一トリオと米沢さんも
踏み込んだ場面が良かった。
それぞれにタイプも違うし、性格もばらばらで、普段は仲が悪いようだが
全員、悪人を心底憎んでいるということでは一致しているのが、
かいま見えて、とても印象的なシーン。
ドラマではあるが、こういう警察官がいるうちは、まだ大丈夫と思わせる。


三雲判事役の石橋凌さん。
余談だが大学一年生の時、列車内でお会いしてサインをもらったことがある。
もちろん、A.R.B.時代。
こういう年輪の重ね方ができる人って、うらやましい限り。