帽子

NHKドラマ「帽子」を見た。
最初はどんなものかとチャンネルをあわせたが
すぐに引き込まれていた。
脚本は池端俊策さんだから、
当然と言えば、当然かも。


呉でひとり帽子屋を営む老職人が主人公。
独居を心配する息子(東京にいる)は警備会社に「ウオッチ」を依頼、
担当する若い警備員との掛け合いからドラマが始まる。
その青年の元に、
小さい頃捨てるように東京へ行った母親が余命数ヶ月との手紙が来る。
そして老職人も昔、その母親と縁があった。
ふたりは会う為に東京へ行くことになる……


土台に流れるテーマは「原爆」であるが、それにとどまらず
現代社会の生き方を示唆してくれるような作品であった。
再会の場面も含め、特に劇的に盛り上がるシーンがあるわけでもなく、
気の利いた台詞の応酬があるわけでもない。
主人公と青年、あるいは再会した主人公と青年の母の会話
それと過去の回想が淡々と静かに流れる。
しかし、そのひとつひとつが、何か懐かしくて、胸をうってきた。
何でもない場面に、何度じーんときたことか。


主演は緒形拳さん、
青年は玉山鉄二さん、
そしてその母親が田中裕子さん。
流石と思わせる演技。


名作。。