それでもボクはやってない

それでもボクはやってない スタンダード・エディション

ほぼ一年くらい前に公開された作品で、
すぐに映画館で見たのだが、その時の衝撃が大きく、
昨日テレビ放映されたのを機会にどうしても触れたくなった。


とにかく、「怖い」映画。
司法、検察、警察、と言った国家権力に斬り込む作品は
今までにもあったし、冤罪をテーマにした秀作もある。
ただこの映画が一段上なのは、観客に上から目線で見させるのではなく、
痴漢という少なくとも殺人や誘拐よりありがちな犯罪を描くことで、
まず誰にでも起こり得ることだと疑似体験として突きつけるところだ。
電車に乗って朝出勤するという当たり前の行為が、
実はとてつもなく危ないことだと思い知らされる。
綿密に描かれた留置所、裁判シーンなどがとてもリアルなだけに、
そこでの恐怖やしんどさが真に迫って来る。
犯罪を行ってそれを認めた人間より、無実だからと否認し続ける人間の方が
半端なく辛い目にあうというおかしな現実。
時折くすりとさせる場面もあるのだが、どうも半笑いしかできなかった覚えがある。


最近、ニュースなどで
一事不再理」「国策捜査」「裁判員制度
などの法律関連の言葉が飛びかうのを良く耳にする。
犯罪や裁判に対して、色々な意見があることは承知だ。
犯罪者が無罪になって、罰も受けずにのうのうと生きることは許し難い。
しかしもし一人でも無辜の者を有罪にしてしまったら…
そしてその原因が事件とは直接関係無い裁判システムのせいであったら…
しかもそれが自分であったら…
たまにミスがあるんだよな、まあたいした刑じゃないよ、執行猶予もあるしで
済むこっちゃない。