殺しの演出者

年度末の今日は、三月十七日付三月二十四日付と続いた
『黄金の日々』の最終回。と言っても、
笑いながら釜の煮え湯に後ろ向きに倒れこんでいった石川五右衛門
教会で襲われた故夏目雅子さんが壮絶に美しかった
という話ではなくて(はい、いい加減にやめます)
今回もウィリアム・リンク&リチャード・レヴィンソン作品の
『殺しの演出者』、原題はMURDER BY NATURAL CAUSES。
79年と言うから、もう三十年近く前のドラマ。
この『黄金の日々』企画では(何や、それ)、結果的にではあるが、
ウィリアム・リンク&リチャード・レヴィンソンの
本格ミステリ三部作をさかのぼったことになる。


これも前二作に負けず劣らずのできばえ。
最後に一発ドンデン返しと言うよりも、
何度も見ている側を、えっと思わせるタイプ。
このドラマは、一体どういう話なんだ?
誰が最後に勝ち残るのか?
そんな思いのまま、ラストまで進んでいく。


三つのうち、一番早い(つまり作者が一番若い時)ということもあって
色々な趣向を盛り込んでくる。
主役が読心術者、そこだけでも、もうこだわりを持ってますね。
おまけに、それがしっかりと後で生きてくるのが素晴らしい。
もう一つ付け加えると、先二作品よりも、
男女の心の動きを中心にすえて、その部分の面白さも
掛け合わせていたかな、と感じている。
あと、この作品は随所で
カメラワークが絶妙な時があり(冒頭でもおまっせ)、それも見物。
まあ、傑作です。


いやはや、この三部作を立て続けに見ることができるとは
本当に果報者である。
こちらは残念ながら、DVDは出ていない。
早く出して下さい、お願いします。


さて、このようにして『黄金の日々』初回企画は終了したが
はっきり言って、私の文章でその良さが伝わったのか、どうか、何ともあやしい。
「誉田はひとりはしゃいで、面白い、面白いとわめいてるだけ」
「この作品は秀逸です、と書けば一行で終わることを、長々とのたまってる」
こういう意見、多いと思います。


そういう方で、もし
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『黄金の日々』企画、またやりたいな。
まず、その前に、『黄金の日々』が来ないとな。